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天風会へのお誘い

服部嘉夫

不可思議な縁でこの世に産れ、一度しかない人生を生きがい、生まれがいのある人生に活きたいと誰もが念願します。生きがい、生まれがいはその人の生活、環境の中から自分自身が創り出すものです。10人いれば10の生きがいがあって良いほど、人によってまちまちです。しかし人間の肌の色が白かろうが、褐色であろうが、黒かろうが、人類共通の生きがいは、健康、幸福、繁栄です。

一般の人々が神社、仏閣に行ってお賽銭を上げ祈願するのは、無病息災、家内安全、商売繫盛でしょう。無病息災は、病に罹りたくない、健康でありたいことです。家内安全は、家庭で不和がなく、会社での人間関係がうまくゆき、幸福であって欲しい。そして商売繫盛はあまり贅沢しなくても、生きるために経済的ゆとりが欲しく、貧乏にはなりたくない、それには仕事を成功させたいという云うことです。健康・幸福・繁栄の反対は、病・煩悶・貧乏で世界の三大不幸と云われます。この病・煩悶・貧乏を克服して人生を長く、強く、広く、深く活きる人生を、東洋の哲人と云われた中村天風師は「真人生」と云われております。天風会の目的は真人生の建設です。

私達は何故真人生に活きられないのでしょうか。それは命に対する考え方が誤っているからです。一般の人々は、命は弱いものと思っています。確かに現象的に見れば、人間は老いて、病んで、死するものです。「生あるものは必ず滅す」と云われ、人間を含めて生きるものは、何時かは死ぬ有限なものです。しかし、本体的に云うと、「命は生きて、生きて、生きて、ひた向きに生き抜く、力の強いものである」と天風師は断言します。人間を含めて生きとし活きるものは、生まれながらに潜在的に強い力を持ち備わっているのです。石垣の間で条件が悪くてもタンポポは花を咲かせており、南の国より飛んで来るつばめも休むことなく飛んで飛んで日本へやって来る強いものです。その命の力を充実させ発揮させる方法が心身統一法です。

命を尊く、価値高く活かすには、命の仕組みを知らねばなりません。命の本来の相(すがた)は、目に見える肉体と見えない心より成っています。心と肉体はばらばらではありません。昔から「心身一如」と云われ、一つのものです。しかし、唯物論的考え方により、体一辺倒になり体本位に考える人がいます。そうかといって唯心論的な考え方になり、心だけを大切に思われる人もいますが、心と体は神経系によって繋がっている一つのものです。一筋の川の流れのようなものです。川ですと川上と川下がありますが、心と体はどちらが川上でしょうか。

私達の小学校の運動会の時に校長先生は、開会式の挨拶で「健全なる体に、健全なる精神が宿るという言葉があるように、生徒の皆さんも大いに体を鍛えて健全な精神を作り上げて欲しい・・・・・」というお話をされていました。これは誤りです。本来の意味は、西暦一世紀のローマの詩人ジューベナルの風刺詩で、「健全なる精神が、健全なる体にあることが望ましい」という願望の詩です。元の意味は「健全なる体に健全な精神が宿らんことを」という解釈です。ですから心と体の関係は、心が川上で体は川下です。「母危篤」とメールを受けた瞬間に顔は青ざめ、心臓や膝関節が震えることでしょう。恥ずかしい思いをした時、直ぐに顔が赤くなります。心が体に及ぼす影響は絶対的であることがお分かりでしょう。

しかし、心と体の関係は心身相関します。心と体は一つのものである以上、心から体に及ぼす影響は絶対的ですが、相対的に体から心に影響もあります。夏の夕方、庭先の縁台で将棋に熱中している時、蚊に刺されても痒みを感じません。勝負が終わった途端にあちこちが痒くなります。気分が優れない時、冷たい水で顔を洗うだけでも、気持ちが爽やかになるものです。古語にも「湯上がりの気持ち持ちたや常日頃」と言われています。体から心に与える影響もありますが、心が体を支配しており心に主導権があるのです。

天風会では、心の対策を十分行っています。まず第1のグループとして心を強く豊かにする方法が3つあります。1つは潜在意識より心を強化する方法。2つ目は実在意識から心を強くする方法。3つ目は体勢を整えることによって、外界からの刺激によって動揺する神経系統を安定確保する方法です。第2グループは心の安定化法で、いわゆる天風式坐禅法です。第3グループは心が積極化され、虚心平気になった心をどのように使うか、精神使用法を具体的にお教えしています。

そして現象世界に活きる人間として、体も強化しなくてはなりません。呼吸に関する諸器官を強化達成する呼吸法、普段使わない筋肉をストレッチする運動法、そして消極観念を撃破する体操も行っています。
冒頭に申し上げました通り、人生はたった一度であり、やり直しはできません。あなたも健康で幸福な人生を築くため、天風会に入会され心身統一法を実践されますことをお勧めいたします。

天風会の創立は大正8年(1919年)6月8日に、東洋の哲人と云われた中村天風師が自らの体験と研究の成果を辻説法という方法で人々にうったえかけたことが会の始まりです。昭和37年(1962年)に国より公益性、社会性が認められ、当時の厚生省より財団法人の認可を受け、その後平成23年(2010年)には内閣府より公益財団法人として認定されました。全国20ヶ所に心身統一法を普及させるお集まりの会があり、どなたにもお手軽で参加できる講習会、行修会など各種セミナーを定期的に開催しています。また中村天風師の著作や心身統一法の解説本などの発行、販売を行っています。